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IWC Porsche Design OCEAN2000をたたえる2(コレクターズガイド)

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IWC OCEAN2000を取り巻く状況は芳しくありません。アンティーク扱いとなり、IWCのコンプリートサービス基本料金だけで20万円もします。部品代は別料金のため、雪だるま式に金額が膨れ上がります。

このタイムピースが気になる方にとって、ブレスレットの仕様やコンプリートサービスでの扱いは心配だと思いますので、ここにまとめておきます。

目次

OCEAN2000 3つのリファレンスナンバー

① Ref.3500

日付と3時のインデックスが干渉します。

ブレスレットは鋸歯状かつ1コマにつき1本のバネ仕込みのピンが取り付けられたGeo.1(初期型)です。ブレスレットとベゼルの着脱をひとつのドライバーで行う、F.A.ポルシェ博士こだわりの構造でした。

中の機械Cal.375は日本国内でのメンテナンスが不可のため、スイス送りになります。

Ref.3500はGeo.1(初期型)のブレスレットが破損し、Geo.2(中期型)やGeo.3(後期型)のミドルケース・ブレスレットに交換された個体が多いです。

② Ref.3504

最も多く生産されたようです。

日付と3時のインデックスは干渉しません。
ブレスレットは1コマにつき2本のバネ仕込みのピンが取り付けられたGeo.2(中期型)です。平たい板のような工具を用いてコマの着脱をします。

中の機械Cal.37521は日本国内でのメンテナンスが可能です。

Ref.3504はGeo.2(中期型)のブレスレットが破損し、Geo.3(後期型)のミドルケース・ブレスレットに交換された個体が多いです。

③ Ref.3524

Ref.3504のブレスレットを改良したものです。ブレスレットは厚くなり、Cリングで連結する簡易ながらも頑丈な作りのGeo.3(後期型)に変更されました。

ブレスレットは樹脂製の大掛かりな工具を用いて調整します。この工具は最近在庫が無くなりました。一般的なCリングですので、ハンマーとピンさえあれば調整可能です。

ブレスレットの改良にあたっては、当初の凝ったブレスレットにこだわりのあるF.A.ポルシェ博士を説得するのに難儀したそうです。

ミドルケース・ブレスレット交換について

OCEANはブレスレットの型によってミドルケース末端の形状が異なります。ブレスレットの型が変わる際はミドルケースも交換されます(ベゼルと裏蓋は共通)。

Geo.1(初期型)とGeo.2(中期型)のブレスレットは凝った構造でしたが、経年で伸びてしまい、破損することが多くありました。また、不幸なことにGeo.1(初期型)とGeo.2(中期型)のミドルケース、ブレスレット、コマの在庫は無くなりました。

IWCの永久修理の原則は「生産終了時の仕様」での部品供給継続・修理対応です。このためOCEAN2000は、生産終了時のRef.3524=Geo.3(後期型)での部品供給が基本となります。

Geo1.(初期型)とGeo.2(中期型)でブレスレットが壊れた場合、Geo.3(後期型)へのミドルケース・ブレスレット交換を勧められます。

Geo.1(初期型)とGeo.2(中期型)からGeo.3(後期型)へのケース・ブレスレット交換は50万円以上を要します(コンプリートサービス約20万、ケース及びブレスレット交換約25万、その他部品交換あれば都度加算)。高価ですが、歴史文化遺産的タイムピースでもあるOCEANを維持するためには必要な出費だと考えます。

Geo.1とGeo.2のブレスレットを温存するには、ブレスレットを外してケースのみの状態でコンプリートサービスに出すか、社外でのメンテナンスに頼るしか方法がありません。

ちなみに、2020年頃からGeo.3(後期型)のブレスレットの仕様が変わり、文字への墨入れがなくなりました。廃盤になって20年以上経つ時計のブレスレットを定期的に製造し続けるとは、さすがIWCです。

Geo.3(後期型)のブレスレットは頑強ですが、無敵ではありません。緩い状態で酷使されると伸び切ってしまいます。摩耗し半分の太さになってしまったチューブピンとCリング(残骸)を交換すればある程度まで復元できますが、ここまで来るとミドルケースの接続部やブレスレットのコマも相当に摩耗しています。ブレスレットは適切な長さで着用することが重要でしょう。

ケース裏蓋内側への刻印打ち直し

ミドルケース交換に伴い、裏蓋内側のリファレンスナンバーが打ち直されることがあります。どこまで徹底されるかは年代によって異なるようで、全て確認していません。

写真はRef.3500とRef.3504の過渡期の個体を、後年ミドルケース・ブレスレット交換によりRef.3524仕様としたものです。Ref.3500用として製造された裏蓋が、Ref.3504への仕様変更により刻印し直されて出荷されたと推測します。写真が見づらいですが下記の通り。なお、裏蓋外側のシリアルナンバーが薄くなった際は、再刻印が可能です。

①3500に線を引きキャンセル、下に3504を打ち直し
②3504に線を引きキャンセル、Probus Scafusia印の上に3524を打ち直し

文字盤について

年代により変化します。
PDマーク(私は配管マークと呼んでいます)→IWC(筆記体) Porsche Design→IWC Porsche Design→Porsche Design by IWC 

現在文字盤交換に出すと、綺麗なルミノバ夜光の文字盤になります。Porsche Design by IWC 以外の文字盤に交換可能かは不明です。トリチウムがオレンジ色になった文字盤も素敵ですが、しっかり光るルミノバ夜光も好ましいです。

ベゼルについて

押して回すベゼルは、現在Sinnで用いられている技術と同じです。IWCに在籍していたローター・シュミット博士(現Sinn社長)によるものでしょう。

付属するドライバーでベゼル横の4つの極小ネジを緩めると、ベゼルを上に持ち上げ外すことができます。これはGSTアクアタイマーと同じ構造です。ドライバーは紛失していることが多く入手が困難です。

ルミナスポイントは、経年で脱落している場合も多いですが修復可能です。

ベルクロストラップについて

グレーのベルクロストラップは現在も入手可能です。ケースとの接続に用いるアタッチメントはGeo.3(後期型)のみ入手可能です。

黒いOCEANについて

特殊な表面処理(Ti-con)による黒いOCEANが少数生産されました。ほとんどはGeo.1(初期型)のブレスレットが付くようです。経年で色が薄くなり、元に戻せません。IWCにも黒い外装部品はほとんど残っていません。

OCEAN BUNDについて

ドイツ海軍では2016年までOCEANが現役だったそうです。軍用OCEAN「BUND」はミリタリーウォッチの最高峰です。市場にほとんど出ない上、ケースや機械の組み合わせ違いなど出自の怪しいBUNDが横行しています。アーカイブ付属の個体が安全です。

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