1967年、ウォータースポーツの普及を受け、IWC初のダイバーズウォッチとして、第1世代のアクアタイマーRef.812が登場します。
IWCをはじめ、各社がピケレ(EPSA)製のスーパーコンプレッサーケースを用いたため、2つリューズのダイバーズウォッチが氾濫しました。
IWCは、頑強なペラトン式自動巻、自動気密式のCATリューズ、20気圧防水を示す潜水艦のエングレービングで他社との差別化を図ります。
雑然としたデザインのコンプレッサーダイバーが市場に溢れる中、アクアタイマーには極めてミニマルで整然とした美しい文字盤とインナーベゼルが与えられました。
その後、クッション型の第2世代Ref.816としてミネラルガラスと30気圧防水にアップデートされますが、デザインは後年に迷走気味と評価されました。またRef.812、816ともに販売は振るいませんでした。

21世紀に入ると再評価が進み、2010年代には海外オークションでRef.812が200万円以上まで高騰します。現在、第1世代のRef.812は、スーパーコンプレッサーケース採用ダイバーズウォッチの最高峰に君臨するMasterpieceとなっています。
今回は、IWCの宝物Ref.812の雰囲気を気軽に楽しめる秀作Ref.3231ヴィンテージアクアタイマーを紹介します。
10年以上前にも所有しており、当時の記憶を元に書いた内容の薄い過去記事もあります。

お気に入り度◎◎◎◎
おすすめ度◎◎◎◎
良い点
・コンプレッサーダイバーの最高峰であるRef.812を現代に復刻
・特許取得の自動気密式リューズ
・頑強なペラトン式自動巻Cal.80111
悪い点
・操作性はアウターベゼルに劣る
・ケースが大きくなった
2008年の創業140年を記念して、IWCはヴィンテージコレクションを発表しました。インヂュニア、アクアタイマー、ポルトギーゼ、ポートフィノ、パイロットウォッチおよびダヴィンチの第1世代を最新技術で再現した意欲作でした。

今回紹介するのは、ステンレスケースの通常モデルです。限定版として貴金属ケースの白文字盤も存在します。
シリンダーケースにくさび型のラグを付けたケースの意匠は、Ref.812を忠実に再現しています。外装の仕上げはポリッシュとヘアラインを使い分けた見事なもので、シャフハウゼンの矜持を感じさせます。

ケースの大きさはRef.812の36.5mmから44mmに巨大化しており、視認性は良いですが腕周りによっては向き不向きがあるかもしれません(この点、36mmのレジェンドダイバーもラインナップに持っているロンジンはすごいと思います)。

文字盤はややマットがかった黒です。インナーベゼルはさらに粗くした上に、僅かにクリアをかけたような独特の仕上がりで手が込んでいます。インデックスの加工は精緻を極め、太い針と合わせて夜光がたっぷりとのっており視認性は抜群です。炉端焼きのような秒針もアクセントでしょう。

暗闇での様子はこの通り(写真左がヴィンテージアクアタイマー。右はヴィンテージインヂュニア)。

2時位置のリューズ(Probus Scafusia刻印あり)は時刻調整用でねじ込み式です。4時位置のリューズ(刻印無し)はインナーベゼル操作用で非ねじ込み式ですが、特許取得の自動気密機構を搭載しており、水中で操作しても浸水しません。水圧の増加に伴いリューズ内のスプリングが圧縮、リューズとパッキンが強く締め付けられる事で高い防水性が保たれます。4時位置のリューズは、ポジションによってケースから僅かに飛び出て見えることがありますが、同機構のスプリングによるもので正常です。

精密なインナーベゼルですが、操作性はアウターベゼルに劣るでしょう。もっとも、両者のいいとこ取りをしたのがセーフダイブシステムを搭載した現行のアクアタイマーです。
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抜群の耐久性を誇る、ペラトン式自動巻Cal.80111を搭載します。これは、非公式ながらゴルフの衝撃にも耐えるとされており、私も登山などの過酷な場面で酷使し、極めて信頼できる堅牢な機械だと考えています。

Ref.3231は、往年のトロピックストラップを模したラバーストラップがデフォルトとなっています。

私は純正のミラネーゼ・メッシュ・ブレスレットに交換しています。ヴィンテージ然とした佇まいが時計をさらに引き立てます。色々とストラップを替えて楽しめる点も、ヴィンテージコレクションの良いところでしょう。


Ref.3231は、往年のスーパーコンプレッサーケースを模した、最新技術によるダイバーズウォッチです。頑強な自社製ペラトン式自動巻Cal.80111により酷使に耐えます。オールドインターの雰囲気を気軽に味わえるため、ぜひ多くの方に手に取って頂きたいと思います。

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