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【体験談】リワーク(復職支援)ってどんな感じ?

岩手県龍泉洞の中

先日、リワークのカウンセラーさんから電話がありました。こうやって話すのは久しぶりだななんて思ったら、リワークを卒業してもう1年になるのだとか。なんだか感慨深いです。

私は約3年間、仕事から離れてお休みしていた時期があり、その後半リワークを利用していました。

本記事ではリワークについて、個人的なエピソードを交えながらお話していきたいと思います。

リワークの利用を考えている方や、復職支援に興味がある方へ、リワークのイメージを持つツールとなれば幸いです。

ゆり

全てがとは言いませんが、リワークしてよかったなと思っています

目次

リワークとは

リワークは、言葉そのままの意味ですと「復職」となりますが、一般的に「復職支援プログラム」の意味で使われることが多いです。

本記事でもリワークという言葉を、復職支援プログラムとして使っていきます。

リワークは何をするところ?

うつ病等を患う人が、復職へのリハビリを行う場所です。

抑うつ障害を発症すると、いきなり通常業務に復帰するには負担がかかりすぎる場合があります。また職場にとっても、休職者をどれくらいのペースで復帰させたらいいのか分からなかったりします。

リワークでは徐々に活動量が戻ってきている人たちを対象に、リハビリを通して段階的に復職を目指すことができます。

リハビリの内容は支援団体によって様々ですが、私のところを例に挙げると、まずは午前中に起きてとりあえず施設に来るという生活リズムの安定から始めて、カウンセリング、仕事に見立てた計算等の作業、認知行動療法等の心理学の学習、仕事のロールプレイング、報告書作成などを行いました。

リワークは誰がやってくれるの?

リワークは復職支援団体が提供しています。

復職支援団体には、公共(独立行政法人)のものと民間のものがあります。

公共のものはプログラムもカウンセリングも全て無料で利用できます(民間でも、条件を満たせば国の補助で無料になる場合があります)。

ただプログラムの内容については、民間の方が手厚かったり、活動が多岐に渡っていて楽しそうだなと思いました(河川敷でテニスとか)。

どんな人がリワークを使えるの?

「復職を目指していて、施設に通えるくらいに回復している」という条件を掲げている団体が多いです。

診断書の提出が必要だったり、保険の種類によっては利用できないところもあるので、よくよくご確認ください。

自分が利用できるか分からないときは、電話や窓口で聞いてしまうのがおすすめです(電話の負担が辛くなければ)。

症状がひどい時というのは、調べるのが難しいです。支援団体もそのことはよくよくわかってくれています。つっかえつっかえでも安心して、なんでも聞いてみてください。

ちなみに、復職ではなく転職を目指したい場合には「転職支援」という別の支援がありますので、そちらを調べてみてください。

ゆり

私の場合、リワーク支援を受けても復職ができず、リワーク卒業後に自力で転職しました。そういう人もたまにいるそうです。

リワーク先の選び方

私のリワーク先では、利用者の大半が「職場に言われてここに来た」という人たちでした。

しかし私は自ら職場に、「休職中リワークに通いたいです」と宣言したタイプです。よってリワーク先も自分で決めました。

少数派だと思いますが、リワークを選んだ時の話をしたいと思います。

近くのリワークを検索してみると、支援団体がいくつか出てきます。

ゆり

私は「ひとまず公共の方(職業センター)に行ってみて、“どこが良いのか悩んでいる”という相談をしてみる」ということをしました。

私の症状では、インターネット検索の負担が大きく、さらに自分で調べた情報もそれが正しいのか不安になり収集がつかないので、この対面で聞くという方法が一番楽な方法でした。

職業センター(公共)には、民間のリワークのパンフレットも置いてくれていたので、それらをいくつか持ち帰り、自宅でゆっくり比較ができました。

後々気づいたのですが、職業センターはリワークのことだけでなく、就労支援等色々な情報も持っているので、「まずどこに相談したら良いのかわからない」という場合の窓口にもなってくれると思います。

障害者窓口で情報集めに行ってみるのもおすすめ
市役所の障害者窓口では、国や自治体が行っている支援をわかりやすく知ることができます(交通費補助等)。リワーク団体の一覧表ももらえます。
自立支援(精神疾患で掛っている病院の医療費負担が軽くなる)の手続きもこの窓口で行えますので、病院に掛かっていてまだ申請していない人はぜひ足を運んでみてください。お得になります。

自分の無理のない範囲(費用、プログラム内容、通う距離、参加人数等)で、丁度良いリワーク先を探してみましょう。

閑話休題:私がリワークを利用することにしたきっかけ

私はリワークを利用する前に、1度復職をしてみるも、2カ月経たずで再休職してしまいました。

「休んで回復を待つだけではきっと二の舞になる」と考えた私は、心理学やカウンセリングの情報を集め出します。その中で、リワークで心理学が学べるようだ、と知り興味が湧きました。

また周囲の人がせっせと働く中、引きこもってばかりいる状況に焦り、何かしら活動がしたいという気持ちも強かったです。

その話を心療内科でしたところ、先生からもお勧めしてもらい通うことにしました。

リワークでは具体的に何をするの?

利用期間は約半年ですが、体調に合わせて期間が伸び縮みするので人それぞれです。

私は8ヶ月くらいだったかと思います。

【前半】・・・個人作業

・軽作業:商品カタログから値段を引っ張り出す、電卓を叩くなどの作業をします。わざと手を抜く練習もしました

・読書:心理系の本を読みます。症状によっては読めないことも多かったです

・カウンセリング/適性診断:カウンセラーさんが客観的に解説をしてくれます

ゆり

初期は2日に1回、3時間程度の利用で、行ったとしてもただ読書するだけでした。それでもよくダウンして泣きながら早退したいと訴えていましたね。

【後半】・・・グループワーク

・心理学の講座:
アンガーマネジメントや認知行動療法などの講座を受けます。前半の「読書」で学んだ内容を講座で解説するような内容です。利用者間で話し合いをしたり、意見を出し合ったりします。

・アサーティブの実践:
自分の実体験をもとに、どういう風に対応したら良いのか、どのように伝えたら良いのか、コミュニケーションスキル向上を図るグループワークを行います。

・報告書の作成:
会社の保険で活動している団体だったので、活動内容の報告書を提出します

ゆり

最終的にはお昼を挟んで5時間くらいの利用をしました。色んな人の経験談や考え方が聞けて面白かったです。

リワークの良かったところ

現在私は、正社員としてフルタイムで働いています。そろそろ1年になります。

どうして社会復帰ができたのだろうかと考えてみると、「自分を矯正する必要がない職場に出会えたこと」が大きかったです。

対して、リワークは復職を目指す場所。環境や職場を変えるというのではなく「自分を変える」場所です。

リワークのプログラムを通して、認知のズレを修正して、怒った時の表現の仕方を変えて。新しい知識は面白かったのですが、正直なところ、考え方を決め付けられているようで苦しいなと思うこともありました。人にはよると思いますが、私は哲学や精神世界の本を読んだり、カウンセラーさんや担当医と話すことの方が、回復に役立ったように思います。

だから私にとって、リワークで良かったところを挙げるとすると、それはプログラム内容ではありません。

安心して回復を目指す時間と環境を作ってくれたところです。

布団から出られない。働けない。今日はできても明日同じことができるとは限らない。

こういう経験によって、私は自分の体や心に不信感を募らせていました。

リワークでは「この時間に家を出て、歩いてリワークに行って、やることはこれこれ」と決まっており、それを何回も繰り返します。リワークに一日いられたり、早退したり、お休みしたり。たくさんの時間をかけて、ちょっとずつ「今日はこなせたぞ」と満足できる日が増えていったのは、自分への信頼回復につながりました。

それからリワークを利用していると、職場や周囲の人から見ても、前向きに回復を目指していることが示せるので、「私は大義名分の元で休んでいるのだ!」と思えたのも心強かったです。おかげで比較的焦りすぎずに、のびのびと回復することができました。

何か考え事で行き詰まった時には、今日電話をくれたカウンセラーさんが一緒に考えてくれました。安心できる環境でした。

結局復職できたのか

できませんでした。

プログラムを全て終了し、勤務地にある一人暮らしの家に滞在してみるというリハビリをしてみたのですが、パニックになり、即終了して実家に帰りました。

休職期間2年以上でこの状態ということに吹っ切れて、これ以上延長するのではなく、心機一転新しい方向に歩みだすことに決めました。

リワーク期間に自分と向き合う時間をたくさん取ったことで、私は気楽に働きたいという思いに気付けていたことも、その決断を後押ししました。

カウンセラーさんからも「旅に出なさい」という言葉をくれて、それは今でもお守りです。

ちなみに退職手続きに面と向かうことも、電話することもできませんでした。文章上でのやりとりで終わらせてもらいました。

リワークを考えている方へ

いざ精神疾患で仕事を休むとなると、一人で解決しなければならないと思ってしまいがちです。

しかし、実際こういう支援もあります。そこには見た目では全然わからなくても、精神疾患に苦しむ人たちが通っています。

リワークも一つの手段として思ってもらえると、少し心強いんじゃないかなと思います。

精神疾患は波があるので、タイミングをみて情報収集してみるのもお勧めします。

その一方で私のように、リワークに行ったからといって必ず社会復帰ができるというわけではありません。生活を楽にするヒントをリワークでみつける人もいれば、どこかの旅行、物語で見つける人もいるでしょう。

無理をせず、自分のタイミングをみて、自分なりのヒント探しをしてみてください。

ゆり

精神疾患は脳の機能障害だよ

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