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適応障害になった、私の愛らしい後輩

夏の公園のすべり台

私の職場には、3つ下の後輩がいる。

彼女の名前は、めいちゃん。

となりのトトロの印象操作からか上司がそのまま「めい」と呼びだし、それに便乗して私も「めいちゃん」と呼んでいる。私にとってめいちゃんは、部下や後輩というよりも、後からバイトに入ってきた同級生みたいな存在だ。

めいちゃんの通勤スタイルは、私とはだいぶ違う。

私は黒髪ショートにナチュラルメイクで、支給された銀行員のような事務服を着ている。

めいちゃんは茶色いカラコンのぱっちりおめめに白い肌。毛先に金色が残る長い髪は気だるげに一つにまとめられ、テプラを貼るには苦戦しそうな長い爪にはジェルネイルが施されている。ブラウスは透け感のあるもので、たまに透けすぎて下着の紐が見える。紺色のパンツに、薄紫色の厚底スニーカーもしくは同色のクロックスを合わせ、そしてスマホストラップをななめがけにしているのが彼女の基本スタイル。

ちなみに、パソコンのデスクトップは彼女の推しのキャラクターが写っていて、今はブルーロックの千切だが、前はパチンコの番長だった。パチンコが趣味なのだそうだ。

めいちゃんは私にタメ口で話す。時に上司を含めて「うちら」と表現したりする。喋り方もギャル要素が強めなめいちゃん。

しかしそんな雰囲気とは裏腹に、彼女はすごく繊細で不器用な子である。その愛らしさと言ったら。

めいちゃんは数ヶ月前に現場から支店に上がってきた子だ。
理由を聞いたら、現場のおじさんの圧力で体調を崩してしまったらしい。退職したいと伝えた時に、私の上司が「支店においで」と引き留めたことで、ここまで流れ着いたのだそうだ。

支店に来てから数ヶ月経った今も、めいちゃんは精神的にも体力的にも不安定で、休む日がしばしばある。
鈍感なおじさんたちは彼女の見た目や喋り方の雰囲気に引っ張られ、彼女の状態を見誤っている。彼女のラジオ体操が支店内で一番重たいのを、みんな気づいていない。

めいちゃんは私にとても懐いてくれていて、よく自身の話を吐露してくれる。
あの現場のおじさんが近づくと体が固まってしまうということ。私からみても仕事の仕方も不安を原動力に必死に行っていること。きっと適応障害だろうな。

ただ、めいちゃんは自身のことだと怖がりなのだが、私の背中はドンと、いやドカンと押してくれる。この強さが面白い。

例えば、旅行のお土産を配る時。私が「このお土産買ったは良いものの食べたことないから、美味しいか分からなくて、いざ皆さんに配るとなると配っていいものか・・・」と不安がっていたら、「お土産なんてみーんなそんなもんじゃん!平気だって!」と言ってくれた。

それから、私とめいちゃんはBIMという建築用3Dソフトを担当していて、私がそのマニュアルを作って「こんな感じで伝わるかな〜」と見せたら、「これで分かんなかったら怒っていいよ!もうこの一番上に書いときな!”この文章でわからない人はBIMを触らないでください”って」と大きな声で言ってくれた。
その時目の前に、いつものめいちゃんなら怖がって縮こまってしまうような上司がいたにも関わらず。

私の悩みの種に対して、すごく強く出るめいちゃん。大きいことを言ってしまうめいちゃん。怖い人も怖く無くなって、後からまた怖くなってしまうめいちゃん。私のために周りが見えなくなってしまうめいちゃん。

ああ、なんて愛らしいんだろう。
適応障害なら早く転職した方がいいと思うけれど、私、きっと引き留めてしまいそう。

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