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はじめてのカメイ美術館 こけし

アンティークピアノ

20221215

今日の昼休みに小さな美術館に行ってきた。私以外の来館者がいなくて、かなりのびのびと、独り言を漏らしつつ鑑賞できて楽しかった。その話をちょっとここで残しておきたい。

 山の風景画が何点かあって、作者がその山をどういう風に捉えているかで印象が全く違って、作者が受けた心象を想像して楽しんだ。雪ヘイトがすごい絵もあって、自然の力に逆らえない諦めと口惜しさが荒々しく筆に乗った絵は、強い印象を覚えた。

 中でも一番好きだったのは、二つの日本人形を対峙するように置いた場面の写生画。背景に黄〜橙色が平面的に塗られ、その手前に力強くパサつくくらい荒々しく書かれた日本人形が二体が並ぶ。左には子供(金太郎?)が鯛を抱え、右には歌舞伎者が鯉を抱え、双方にらみを利かせている。お互いばちばちと人の目に見えない形で戦っているようで、こころなしか両者から湯気が立ち上っているようにも見える。かわいらしさと滑稽さ、ディティールの細かすぎない油彩を盛った描き方。お祭り騒ぎのようなワクワクを感じられて楽しかった。

 それから「どんど」という題名で、おおきな炎を囲むように群衆(農民のような恰好)がある絵も印象的だった。人々の間からも炎の明かりが漏れ出て、まるで自分も火にあたっているような感じがした。「どんと」というのは我が地元の正月後に行われる行為で、神社で古いお札やお守り等を山のように積み上げ、一斉にお炊き上げするものである。この絵もおそらく神道色が入っていて、炎と群衆以外は真っ暗闇であるところ、また足元に写る炎が滑らかに伸びており、まるで黒いつるつるした冷たい床の上に立っているようにも見えるところから、生と死の狭間といった異空間に似た神秘さ、静謐さも感じられる。

 一つ下の階はまた違った雰囲気の、美術館というよりも博物館のような展示コーナーになって、季節によって展示物は変わるようなのだが、今回はなんと、おびただしい数の蝶々が図書館のように飾られていた。標本は壁を覆うに飽き足らず、部屋の中央にも何列か組まれていた。美術館はとある社長のコレクションで運営されているのだが、その社長さん、元来蝶々が好きなようで、某小説のように少年から蝶々をねだられそれを与えたというエピソードもパネル展示されていた。そして、そのエピソードに感動した牧師が社長宛に蝶々の羽を使って大きな絵を作ったようで、それもまたなんというか、私には美しさよりもグロテスクさ、命を感じるものだったので「・・・重たっ」とつぶやき、あまり見ないようにしつつぐるっと周回した。

 そのとなりにあったこけしコーナーには随分救われた。愛らしい。落ち着く。ある意味こけしを好きになれるきっかけになりそうだった。新米作家のこけし作品を飾っているそうで、一人ずつ作者のコメントがパネルになっていた。

 主なコメントは「師匠から学ぶ毎日です」と、「こけしの良さを知ってもらいたい」というもの。こけしの良さがどこにあるということは誰も言葉にしていなかった。聞くより感じろ、というメッセージだろうか。生憎「あ、なんか素朴でかわいい」という思いしか浮かばなかった私は、芸術家への道のりは遠い。

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