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IWC ポルトギーゼの歴史をたたえる3 ポルトガル・ウォッチの復活

前回、前々回からの続きです

これまでのポルトギーゼは、一貫してカタログに載っていません。Ref.325というリファレンスナンバーも後付けで、当初はケースの型番であるModel.228と呼ばれていました。

手元の約80年分のカタログを全て引っ張りましたが、どこにも見当たりませんでした。本当に日陰の時計だったのでしょう。

IWCの創立125年を記念して、ジャーマンエディションの余剰ケースと新造ケースを用いたRef.5441ポルトギーゼジュビリーが発売され好評を博します。

この後、歴史的なポルトギーゼの最高傑作であり、リヒャルト・ハブリングの手による超絶機械を載せた究極の手巻き時計、当時のIWC社長ギュンター・ブリュームラインと時計史家のベルンハルト・マイスがデザインを監修し、新世代のポルトギーゼの全ての祖であるRef.3712ポルトギーゼラトラパント(ラトラパンテ)が生まれ、やがてお馴染みのRef.3714ポルトギーゼクロノグラフに帰着します。この時、ジャガールクルトの機械を載せたRef.3531スモールギーゼなども登場しました。

ちなみに、Ref.3712ポルトギーゼラトラパント(ラトラパンテ)は、現在でもブティック限定モデルなどで発売されることがある、本当に息が長いモデルです。

いずれにせよ、大型ケースにベゼルを極限まで薄くし文字盤を大きく取ったポルトギーゼの意匠は、小さな時計が多かった1990年代の市場にはやや前衛的でした。

当時の日本代理店であったコサ・リーベルマンの営業マンは、ポルトギーゼラトラパント(ラトラパンテ)やポルトギーゼクロノグラフを手に日本国内の小売店を巡りましたが、あまりの大きさに「こんなものはいらん」と言われ、ほとんど受け入れてもらえない日々が続いたと言われます。

ごうた

左から定番のポルトギーゼクロノグラフ、ジュビリー、F.A.ジョーンズ

偉大なポルトギーゼの物語は今日も続きます。

ポルトギーゼは航海用計器を出自としながらも、独特のエレガントさもあり、ツールウォッチとドレスウォッチの絶妙なバランスの上に成り立っています。アクアタイマー、ややオタク向けのインヂュニアとは異なった、まさに独自の立ち位置を築いていると言えましょう。また、派生モデルであるポルトギーゼ・ヨットクラブも大変魅力的です。ぜひ、ひとりでも多くの方に手にとって頂きたいと考えます。

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