11月10日は、兵庫県立芸術文化センターでカーチュン・ウォン指揮兵庫芸術文化センター管弦楽団のマーラー6を聴きました。
マーラー6は、最もカッコいい音楽、かつ究極のバッドエンド交響曲だと考えます。メタ音楽要素が強い7番とは異なり、全4楽章の古典的な骨組みを持ちます。極限まで突き詰めた、極めて複雑な管弦楽法(スコアは作品中最厚)、ハンマー等打楽器の多用が特徴です。
演奏が難しく、マーラー自身もエッセンでの世界初演(1906年5月27日)含めて3回しか振りませんでした。また、中間楽章の順番が未確定で、アンダンテ⇄スケルツォが度々入れ替わります。
ごうた
鬼神のような雰囲気は、さながらマーラー本人の指揮を想起させる写真だと思います。
なお、6番を指揮するマーラーの写真は見つかっていません。7番については、不鮮明ではあるものの、指揮中の写真が現存します(これらの写真については、改めて取り上げる予定です)。
第4楽章は、マーラーのヘルデンレーベンといえましょう(危険なほど現代音楽に接近した開始10小節!)。この30分間を彼の創作の頂点と考える人もいるくらいです。苦悩や希望、諦観、絶望、凡そ人間に現れる全ての感情を包含していると言っても過言ではありません。
マーラーをこよなく愛するカーチュンの見事な指揮は、日本フィルとの数々の名演でよく知られている通りです。カーチュンも6番は初めてとのことで、これまでの個性的なアプローチと比較すると、やや安全運転だったように思います(中間楽章はアンダンテ→スケルツォの順番。ハンマーは2回)オケをよく鳴らした、小気味良い好演でした。また、客席の集中力も極めて高く、安心して楽しむことができました。
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